東京オリンピック女子マラソン代表の「残り1枠」をかけた熾烈な争いが続いています。そんな中、大阪国際女子マラソンで優勝した松田瑞生選手が代表入りに大きく近づきました。

今、マラソン業界ではナイキの『ヴェイパーフライ』を使用した選手が好記録を連発し話題となっていますが、松田瑞生選手はそれに逆行し、非厚底、薄底シューズで勝負に挑んでいます。

今回は、松田瑞生選手が厚底シューズを履かない理由を調べました。

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松田瑞生選手が厚底シューズを履かない理由

松田瑞生選手が厚底シューズを履かない理由は、いくつかあります。

外反母趾

シューズの底の厚さはそれぞれ好みがあり、選手によって違います。

松田瑞生選手の場合、外反母趾なので既製品である厚底シューズは足に合わず、履くことは困難です。

外反母趾

特徴的な症状は足の母指(親指・母趾)の先が人差し指(第2趾)のほうに「くの字」に曲がり、つけ根の関節の内側の突き出したところが痛みます。その突出部が靴に当たって炎症を起こして、ひどくなると靴を履いていなくても痛むようになります。

靴の歴史の長い欧米人に多い病気でしたが、最近は日本でも急速に増えています。

外反母趾の一番の原因は靴を履くことで、幅の狭いつま先が細くなった靴を履くと母指のつけ根から先が圧迫されて変形します。ヒールの高い靴はつけ根にかかる力が増えてさらに変形を強くします。

10歳代に起こるものは母指が人差し指より長かったり、生まれつき扁平足ぎみであったりする外反母趾になりやすい特徴があります。最も多い中年期のものは履物に加えて、肥満と筋力低下などによっておこります。

引用:日本整形外科学会

松田瑞生選手はマラソン大会直前に、後述する靴職人である三村仁司さんにシューズの修正を依頼しています。

「本人から”きつい”といわれて、2.5ミリ修正したんですが、実はこのとき、よっぽど調子がいいんだろうと思いました。きつく感じるのは、背が伸びたか、体重が増えたか、調子が良くて踏む力が強くなっているかのいずれかですから」(三村仁司さん談)

足の親指が外反母趾だと、よけいにシューズの微調整は必要になってくると思います。

細やかな調整をするためには、既製品の厚底シューズでは無理がありますよね。

“伝説のシューズ職人”三村仁司への信頼

“伝説のシューズ職人”と呼ばれる三村仁司さんは、高橋尚子さん野口みずきさん二人の金メダリストのシューズを手掛けてきたという実績のあるかたです。また、有森裕子さんのシューズも手掛け“五輪メダルシューズ”に関わってきたシューズ作りの名人です。

松田瑞生選手は、大会には三村仁司さんの作ったオーダーメイドの特注品である、ニューバランス社製の“薄底シューズ”を履いて出場しています。

筋力を考慮して

厚底シューズは、重心を前に傾けた時にソール(靴底)のカーボンプレートで推進力が生まれる構造になっています。

この厚底を使いこなすには、筋力が求められます。それが女子選手には効果が薄いことにつながり、厚底シューズが選ばれない理由のひとつに挙げられています。

・・・といっても、松田瑞生選手の筋肉がものすごいのは周知の事実ですが。

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それにしても松田瑞生選手、筋肉がボディービルダーのようですよね。

シューズの重さの問題

重さも、女子選手に厚底シューズが好まれない理由の一つではないか、と言われています。

特殊素材で軽いとはいえ、薄底より多少は重くなります。

それが長時間パフォーマンスを発揮する上で、好まれないのではないかと考えます。

女子選手の体重の問題

女子選手は体重が軽く、男子に比べて厚底による衝撃吸収をする必要性が低いと言われています。

わざわざ厚底シューズを履く意味が、それほどないわけですね。

松田瑞生選手の大阪国際女子マラソンでの状態

松田瑞生選手が厚底シューズではなく、三村仁司さんが手掛けたニューバランスの薄底シューズで大阪国際女子マラソンに挑んだ時の様子を見てみました。

山中監督は、薄底シューズでコンディションを整えてきた松田瑞生選手にこう述べています。

「彼女は疲労がたまると足がむくみやすいけれど、今回は血管が浮き上がっていた」山中監督

大会前の練習で疲れがあった時も、むくみが起こらず絶好調だったということですね。

「迷いなく薄底シューズを選んだのが良かった」山下佐知子強化コーチ

山下佐知子五輪強化コーチもこう評価しています。

 
ナイキ製の厚底シューズを履く場合、走り自体も変えなければなりませんが、もともとトラック出身でスピードがあり、腹筋が強く、ぶれの少ない安定した走法の松田瑞生選手には、伝説のシューズ職人が作ってくれた足にフィットする「薄底シューズ」が、最大限のパフォーマンスを引き出してくれたといえます。

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松田瑞生選手やシューズに関するSNSでの反応

みなさんの反応をいくつかご紹介します。

厚底シューズの規制や正式ルールに関する情報が錯綜していますね。

ただ、ナイキの厚底シューズを履いた選手が好記録を続々と出していることは事実ですし、年始の箱根駅伝でも厚底シューズの姿は目立ちました。

マラソンの世界で42.195kmを2時間を切って走り切るのが当たり前になってくるのでしょうか。想像するととてつもない飛躍ですね。

シューズの話題も注目されることになった、マラソン業界。

オリンピックの女子代表は、3月の名古屋ウィメンズマラソンで決まります。

「厚底vs非厚底」の覇権争いが続いている状況ですが、それぞれの選手の闘いぶりを期待したいと思います。

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