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『毒物ずかん』ってどんな本?

知る人ぞ知る「ヘルドクター」くられが文・監修を担当し、化学の知識をもつ「理系イラストレーター」姫川たけおが絵・マンガを担当した、毒の豆知識や個性的な毒のキャラクター達を楽しめるマンガメインの本です。

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毒ってなに

“はじめに”に書かれているのですが、今から数百年前の1500年代のこと。スイス生まれの錬金術師パラケルススは、毒というものについて現代にも通じる発見をし、こう記しているそうです。

“あるものが有毒かどうかは服用量によって決まる”

暗殺の毒として定番になっている「青酸カリ」や毒ガスの代表選手「サリン」などは誰がどう見ても毒物じゃないかという意見もあるでしょうが、しかし実は、これらの物質にさえ、毒性を発揮する量・しない量、自覚することさえない分量があるのです。

あまりに少ない量で人の健康を害してしまうので、毒以外の何物でもないイメージがありますが、猛毒にさえ無害な量(極めて微量ですが)があるとのこと。

人間の身体に絶対必用な塩は、お茶碗1杯くらい食べれば死に至ります。

水も、飲みすぎれば中毒を起こし、さらに飲みすぎれば死んでしまいます。

「有害量」が多いか少ないかが問題なのです。

この「有害量」がきわめて少量であり、少し摂取しただけで健康を害してしまうもの、それを人は「毒」とよびます。

この本は、毒とよばれる物質がどういったもので、身の回りにどのようにひそんでいて、どういう影響をあたえるのかということを楽しみながら学べます。

毒を擬人化したキャラクター達がたくさん出てきて、そのいでたちや服装で毒の性質や特徴がわかります。

例えば、カドミウムは米などのイネ科植物に蓄積されるのでカカシの姿。鉱毒なので鉱夫の衣装。アクセサリーの金属を固定するのに利用されるので大きな指輪をつけています。

アコニチンはトリカブトの毒なので、トリカブトの花のような頭。矢毒として利用されたのでボウガンみたいなのを持っている。アイヌ民族が毒矢に用いたのでアイヌの民族衣装風のファッションです。

麻薬に関する章もありますので、様々な有害物質のことを知ることができます。

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可愛いネズミの姿のタリウム

タリウムは体内に入ると神経細胞に入り込み、細胞の生命活動をとめてしまう「細胞毒」のひとつ。

カリウムと間違われて細胞に取り込まれてしまうそう。

細胞を殺すため、強力な除毛作用があって、除毛クリームに使われてたこともあったそうです。

その頃に生きてたら塗ってたのかもなぁ。

キャラクターは可愛いネズミの姿をしています。

殺鼠剤に利用されるからだとか・・・

なんかそれ、ステーキ屋さんのキャラがナイフとフォーク持った牛なのと近い違和感が(笑)

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びらん剤の意味がわかったマスタードガス

1822年にフランスの化学者が開発。

ガスに触れた部分が即座に炎症を起こし、やけどのような水ぶくれとなる恐ろしい毒ガスです。

兵器としてびらん剤(びらんとは、ただれること)として用いられました。

解毒方法なし。

できる限り被爆を避け、症状が出たら対処療法で対応するしかありません。

致命的な猛毒ガスではないものの、多くの負傷者を出すことで相手の戦力を低下させる目的で開発されました。

匂いがマスタードに似ているので、この名でよばれるように。

マスタードガスの中毒患者は白血球が増えることなどが知られていて、そこでマスタードガスを改良し、人類初の抗がん剤であるナイトロジェンマスタードが誕生したとか。

その後さらに副作用を抑え、シクロホスファミドという薬剤になりました。

抗がん剤の研究は、毒ガスの副作用から始まったんですね。

麻薬の女王ヘロイン

ヘロインは麻薬の中でも最も依存性が高い麻薬だそうです。

一度ヘロイン中毒者になってしまうと、ヘロインなしでは人生が味気ないものに感じたり、体中にひどい痛みを感じたり、虫が全身を這い回るような、あの有名な症状が出ます。

中毒者の治療が最も困難なものとされ、麻薬の中でも最も危険という研究者もいます。

人類の歴史の中でも、たびたび登場しますね。

それらを読み解くたび憤りを感じるのですが、マスタードガスから抗がん剤が生まれたように、ヘロインの原料、ケシの花の実であるケシ坊主を傷つけ、出てくる樹液を固めアヘンを作り、そのアヘンからモルヒネが作られました。

モルヒネは現在でも、がんの激しい痛みなどに有効な鎮痛剤として使われています。

まとめ

なんでも取りすぎると毒になる。

一応大人なので、そういう心づもりで漠然と食品のことを考えたり、お米のカドミウムや一酸化炭素中毒のこと、オウム真理教の地下鉄サリン事件のことを考えたりしてきましたが、この本は麻薬やさらに高分子のことなど色々と知れて盛りだくさんだと思います。

監修のくられさんもおっしゃってるように、

ただの毒物、コワイモノ、で思考停止せず、「どうしてどうして?」と毒について考えていくきっかけにしてくだされば・・・

というふうに、これからも自分で毒や化学(苦手だけど)について思考を少しでも広くしていければと思っています。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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