『Dr.STONE』はどんなマンガ?
週刊少年ジャンプに連載中の、壮大なスケールのSFサバイバルなお話です。
※ネタバレを含むので、知りたくない方はご注意を。
ある日、一瞬にして世界中の人間が石化する謎の現象が起きてしまいます。
それから数千年後・・・主人公の天才科学少年、千空は、大自然の中に石化した人間がゴロゴロ転がっている世界で偶然目覚め、ゼロから文明を作っていくために動き出します。
千空よりあとに目覚めた友人、大樹とともに、千空は科学の知識を生かし考えることを担当、大樹は持ち前の体力を生かし力仕事担当という風に力を合わせて、ゼロから文明を作り上げ、かつての世界を取り戻すことを誓います。
自分たちの石化が解けた原因は、洞窟に住むコウモリたちの糞から出来た硝酸が関係していると考えた千空は、硝酸を土器にため、全人類の石化を解くべく準備を進めていました。
しかし、ただ硝酸をかけただけでは石化は解けず、一年間、百数十回の実験を重ねて、ようやく一羽の鳥の石化を解くことに成功しました。(何故か鳥と人類だけが石化しており、サルなどの他の動物は石化していないのです。数千年前の人類が石化したその日より以前に、石化した鳥があちこちで見つかっていました。鳥はツバメのようにも見えますが、謎・・・)
硝酸とあるものを混ぜた石化を解く液体を、二人は“奇跡の水”と呼びます。
苦労の末、ようやくわかった硝酸を使った石化を解く方法。
大樹はかつての世界で生きていた頃からずっと好きだった杠(ゆずりは)に硝酸を使うべく千空と杠の元へ行きますが、石化を解く直前に、数頭のライオンに遭遇してしまいます。
杠を抱えながら逃げる大樹と千空。しかしライオンから逃げ続けるのも限界に。絶対絶命のその時、かつての世界で『霊長類最強の高校生』と呼ばれていた獅子王司の石化した姿に奇跡の水を使うことを判断します。
目覚めた司「現況は?」
千空「体表全体に鉱石片、9時から2時方向にライオン群!」
数千年ぶりの目覚めにもかかわらず冷静に現況を訊く司と的確に即答する千空。
かっこいい場面です!
司は『霊長類最強の高校生』の名に恥じることのない強さで、ライオンたちを倒していくのでした。
頼もしい仲間となるはずだった獅子王司。
しかし彼は、非常に偏った考えの持ち主だとわかっていきます。
それは、純粋な若者たちだけを復活させて新しい世界を作るというもの。
心の汚れた年寄りまで助けることはない。
最初はしおらしく感謝するだろうが、文明が戻れば必ず「そこは俺の土地だった」「家賃をよこせ、税を払え」また持たざる弱者を食い物にしだす。
司は過去の経験から、醜い心の大人を憎んでいるようです。
千空の前で、中年男の石像を粉々にする司。
それは、殺人行為にあたります。
科学の力で人類全員もれなく助け出す!というスタンスの千空とは、悲劇的なまでに考えが違うのでした。
危険な存在の司に、奇跡の水や硝酸のことは死んでも隠さないとと考えを巡らす千空ですが、司の本性を知らない大樹はあっさりコウモリのいる洞窟の話をしてしまいます。
司は抜け目なく洞窟の場所を聞き出し、杠を復活させるのにあと少し足りない奇跡の水(千空が足りないと嘘とついた。実は足りている)を取りに行くという名目で洞窟に出かけていきます(きっと、杠の復活には興味が無くて、奇跡の水の場所だけが知りたかったんでしょう)
実は司が洞窟に行っている間に杠を復活させることが、千空が奇跡の水が足りないと嘘をついた理由。
大樹は石化が解けた杠を受け止め、数千年ぶりの再会を果たします。
千空は大樹に司の本性を多くは語りませんでしたが、大樹は察し、司を排除するという千空の考えに賛同します。
「テメーら二人で今すぐ逃げるか、全員で戦って司の殺人をとめるか」
大樹と杠に聞く千空。
大樹は一緒に戦うと即答。
目覚めたばかりの杠は、訳わからないまま「私もなにか手伝う!」
杠、えらい・・・
そんな時に司が帰ってきてしまい、
「殺してるっていうのは、うん、捉え方の問題だね。間引いてるんだ。新しい世界のために」
と言い放ちます。
その後、千空達と司は対立し、千空が隠しておいた武器、クロスボウを使って応戦したり、大樹が非暴力不服従的な行動に出たり(途中でやめるけど)司が杠を殺すことをほのめかしたりと修羅場があるんですが、何か考えのある司が、
「仲間割れはよそう。大樹、君は杠を守ってやれ。赤の他人の石像なんかよりも。俺も自分のやるべきことをやる。邪魔はさせない」
と言って、どこかへ立ち去ります。
千空たちはその隙に、司に立ち向かうべく、この時代にない文明の利器を作るべく旅に出ます。
人類史上最大の発明品、銃、つまり・・・火薬を作ることを目指すのでした。
それに気づいた司。
火薬が完成すれば俺に勝ち目はない。必ず止める!!千空が作り上げるその前に。
と、1巻は今後二人の激突はどうなっていくのか!?というハラハラの終わり方になっています。
1巻で私が一番鳥肌たったところ
もし自分が石化したら!?『Dr.Stone』を読んだ人はそう想像するんじゃないでしょうか(そうでもないか)
石化中、意識があったりなかったりと、人によって違うような描かれ方なのですが、もし意識があったら地獄だなと思ってしまいます。
1巻冒頭に、
何!?真っ暗
動けない。急に・・・
声も出ない。助けて。誰か・・・
Terrorism?No. テロ?違う。
I won’t die yet.I still have many・・・死ぬ訳にはいかない。私にはまだ・・・
The consciousness 意識が・・・
is fading away・・・消えていく・・・
と、人々の心の声が。
そうして全人類石化し、文明は滅んでいきました。
もし私だったら、冷凍睡眠みたいに静かに眠っていたい!
しかし、主人公の千空は石化中に恐ろしいことをやってのけます。
なんと、ずっと秒をカウントしていたのです。
自分よりあとに目覚めた大樹に千空は言いました。
「今日で西暦5738年の10月5日だ。どんだけ寝坊してやがんだテメー。こっちはもう半年以上前から起きて働いてんだよ」
暗闇の中でずっと数えてたみたいです。
ゾーーーーーーーーっとする!
1164憶2706万5520秒。
クッソ、また意識もってかれそうになった。
80万秒周期くらいでピークが来んな。
考えながらカウントしろ。
脳を並列に使え。
1164憶2706万5530秒。
動けなくなってから現在およそ3689年158日・・・
執念ですね。普通なら気がおかしくなってそう。
読み返すたびに、千空に感心しまくってます。
敵キャラの『霊長類最強の高校生』が妙に頭よくて笑える
『Dr.STONE』のお話の中では、千空はめちゃくちゃ頭いいけど体力や腕力は無く、大樹は単純であまり深く考えないけど、体力はめちゃくちゃあるキャラとして描かれています。
司は、素手でライオンを倒すほど強く、時速200キロを超えているクロスボウをバシッと取ってしまうほどのバケモノなのですが、妙に頭がいいんです!
コウモリのいる洞窟で糞から出来た液体に対して、
ふれると指が黄色くなる。
奇跡の水ってのは硝酸か。
え、硝酸ってそんなにメジャー?
コウモリのいる洞窟のポタポタ=硝酸
って簡単な式・・・じゃないよねー?
あと、自分に対抗するために千空たちが火薬を作りに移動したことを察した司はその行先もあっさり推理します。
火薬の原料、硫黄が取り放題の温泉地。
箱根だ!
大正解~(笑)
こんな感じで、司は妙に賢いのでした。
まとめ
このマンガは近頃では珍しく、子供たちに読んでほしい!と心から思えるマンガです。
ぜひ全世界の子供たちに読んでもらいたい!
千空や、今後登場するキャラが試しては失敗し、また試しては失敗してもあきらめず、すっごいものが出来上がって、文明を少しずつ取り戻していくその努力の過程がたまらなくいいし、子供たちには地道に試していく大切さを学んでほしいなと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。