正体不明の路上芸術家、バンクシー新作が、英サウサンプトンの病院に寄付されたことがわかりました。

報道では「バンクシーは新作の中で医療従事者をたたえている」とされていますが、果たしてそれだけでしょうか。

本当の意味はバンクシーに聞かなければわかりませんが、これまでのバンクシーの作風からして、シンプルに医療従事者をたたえているだけとは思えないと考える人は多いようです。

今回は、路上芸術家バンクシーの新作の意味や皮肉を考えました。

【追記】 2020年6月。アメリカで白人の警官が黒人男性を暴行死させる事件がありました。

大変憤りを感じます。

バンクシーの作品はこちらです。

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バンクシーの新作はどんな絵?

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出典:CNN.CO.JP

上の画像は、覆面アーティストのバンクシーが病院に寄贈した絵です。

「Game Changer」というタイトルです。

1平方メートルのキャンバスには、デニムとTシャツ姿の幼い男の子が、国民保健サービス(NHS)の看護師の人形をヒーローに見立てて遊ぶ様子が描かれています。

看護師の人形の右腕は前方に伸び、スーパーマンが空を飛ぶときのようなポーズをしています。

また、人形はマスクをつけ看護師キャップをかぶり、赤十字マーク(これだけは赤色で描かれている)がついたエプロンを身につけています。

「バットマン」「スパイダーマン」の人形が床に置かれたごみ箱の中に入っているのが見えますね。

このモノクロ作品は、同病院の協力を得て救急病棟近くのロビーに飾られました。

病院はバンクシーの承認を得て、この作品を「セインツ(聖人)の絵」と名付けました。

セインツは、地元のプロサッカーチームの愛称にちなんでいます。

英BBCによれば、病院へ向けたメモも添えられていました。

そこには「あなたたちがしている全てのことに感謝します。白と黒だけの作品ですが、この場所に少しでも明るさをもたらしますように」と記されていたといいます。

バンクシーはインスタグラムへの投稿で、この作品が自身の作品であるとしています。

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. . Game Changer

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この作品は今秋まで同病院に飾られ、その後はNHSのための資金を調達するためにオークションにかけられるといいます。

サウサンプトン総合病院を運営する、サウサンプトン大学病院NHS財団トップのポーラ・ヘッド氏は、「我々の病院の仲間は、とても愛され、尊敬を受けるスタッフや友人たちの悲劇的な死による影響を直に受けています」と述べた。

「この前代未聞な状況下での、NHSやNHSと関わる人たち全員の素晴らしい働きぶりを評価するために、バンクシーが我々を選んでくれたという事実は非常に名誉なことです」

ヘッド氏はさらに、「この作品は、病院内のすべての人にとって本当に価値あるものになるでしょう。医療従事者は多忙な日々の中で、立ち止まり、じっくり考え、この芸術作品に感謝する瞬間を得るでしょう。それに、当病院で働く人や治療を受ける人全員の士気をものすごく押し上げてくれることは間違いありません」と付け加えた。

引用:BBC

バンクシーが添えたメモに書かれていた文章は、バンクシーの医療関係者への感謝と敬意を感じることが出来ます。

そして病院関係者は、今回の出来事にパワーをもらっていると思います。

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バンクシーのこれまでの作品の意味は?

もちろん、作品の本当の意味は描いた本人のバンクシーに聞かなければわかりませんが、彼のこれまでの作品をいくつかみていきたいと思います。

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武器を投げつけようとしている覆面姿の少年の手には、花束が握られています。

火炎瓶の代わりに花束が描かれたこの絵は、バンクシーの作品の中でもっとも有名な絵の一つです。

暴力やテロに対するアンチテーゼ、平和への祈りのメッセージが感じ取れる作品です。

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ショッピングカートとともに落下している女性は、落下しているにもかかわらず、その手を放さずぎゅっとカートを握りしめています。

この絵はロンドンの高級ショッピング街のビルに描かれており、消費社会・格差社会への風刺を表現しているように受け取れます。

バンクシーの絵は、描かれている場所も重要だと思います。

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バンクシー新作の意味は?皮肉が通じてない?看護師人形の作品の真意

バンクシーといえば、風刺を避けて解釈することは厳しいです。

バンクシーの作品は、反戦、反消費主義、反ファシズム、反帝国主義、反権威主義、アナキズム、ニヒリズム、実存主義など、様々な政治的社会的テーマを扱ってきました。

そしてバンクシーの作品が一般的に批判しているという人間の状態の要素は、欲、貧困、偽善、退屈、絶望、不条理、そして疎外であるとされています。

それらをふまえて「Game Changer」を改めて観ると、もしかしてこういうことを言いたいのではないかということが浮かんでくると思います。

バンクシーの意図は医療従事者には応援として、そして知性がある大人には「医療従事者をおもちゃのヒーローのように扱ってはならない」という警告の、二重構造かもしれません。

バンクシーがこの絵に添えた言葉は「ゲームチェンジャー」(スポーツの試合で流れを一気に変えてしまう選手)。

医療従事者たちがこの状況を打破する「ゲームチェンジャー」になるかもしれないし、同時に子供がおもちゃとして手に持つ動作からは、今だけ看護師を讃えヒーローに熱狂しているが、飽きれば掌返すような変わりやすい風潮への皮肉も感じます。

最前線で命がけで働いている医療従事者を、おもちゃのように使い捨てにしてはいけないという痛烈な批判も感じます。

子供の持っている看護師の人形は色のついた肌をしています。

医療現場では、ヒスパニックマイノリティのスタッフの犠牲が大きいことも批判しているのかもしれません。

 

 みなさんは、どう感じられたでしょうか。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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