世界中に拡大している新型コロナウイルスの収束が読めない中、東京オリンピックの開催がどうなるか議論が重ねられています。
トランプ大統領、IOCリチャード・パウンド元副会長、橋本聖子五輪担当相、組織委員会 高橋治之理事、東京五輪・パラリンピック組織委員会 森喜朗会長たちの意見やその他に予期されることなどをまとめました。
オリンピック延期・中止派と開催派は誰?
東京オリンピック延期・中止派の人たちはこちらです。
トランプ大統領 採火式直後の発言「オリンピックに観客がいないというのは想像できない。1年延期がいい」(3月12日木曜 現地時間)
IOCリチャード・パウンド元副会長「5月までに事態が収束しなければ、中止を検討するだろう」(AP通信のインタビューより)
組織委員会 高橋治之理事「1年か2年の延期が現実的選択肢」(水曜ウォール・ストリート・ジャーナルより)
東京オリンピック開催派はこちらです。
橋本聖子五輪担当相「全てが予定どおり7月24日、東京大会の開催に向けて全力で準備していきたい」(3月13日金曜コメント)
小池百合子 都知事「毎日、超ド級の変化がありますので、その言葉(延期)もあまり驚きません。東京都とすれば中止という選択肢は全くありませんね」
東京五輪・パラリンピック組織委員会 森喜朗会長「とんでもない事をおっしゃったなというのが、正直な感想ですね。すぐ高橋理事と電話で話しました。そしたら“大変申し訳ない”と。“ちょっと口がすべってしまって・・・皆さんにご迷惑かけた”と。“お詫びをしたい”と」(3月11日水曜コメント)
ここには5名の、深く関わりのあるみなさんの意見をあげさせていただきました。
東京五輪・パラリンピック組織委員会 森喜朗会長のコメントは、高橋治之理事の発言を受けてのものです。これには、演技ではないかといわれている部分もあります。(森さんは、小泉元首相の時代も芝居がかったことを政治に持ち込んだりしていたので)
森喜朗会長のコメントが演技ではないかと言われるのは、それも含めて延期に向けたシナリオのひとつではないかという意見があるからです。
次の章では、そちらについてまとめていきます。
東京オリンピックの延期に向けたシナリオが存在する?
政治ジャーナリストの角谷浩一氏はこう述べています。
角谷浩一氏「いっぺんにこうなりましたという衝撃を与えるよりも、徐々に徐々に“延期説”というのを、スポンサー筋や国民に浸透していく準備をしたのではないだろうか。元電通の専務だった高橋理事が“1~2年延期するのが現実的”と言い出すんですね。その直後に森会長が否定してみせるわけですけど、森さんの役者ぶりっていうのは、政界の中では知られているんですよね」
2005年、小泉純一郎首相(当時)が自民党内の反対を押し切り「郵政解散」を決断します。その時、森さんは記者たちの前で小泉元首相の言動を否定します。
森さん「干からびたチーズとね、なんかサーモンみたいなものとね、“これしかないんだ”って言うんだよ。噛んだけど硬くて食えない。変人以上だな」
わかりづらいですが、森さんは要は小泉首相の政治活動を否定しているんですね。
角谷浩一氏「これが森会長を怒らせたんだなという演出をしたけれども、実は小泉首相(当時)と森会長は“そういうふうな話にしよう”と。(今回も)「とんでもないことをおっしゃった」と否定してみせるところがみそで、今回また役者が変わったけど、環境の醸造をしたんじゃないかと思う」
東京五輪・パラリンピック組織委員会としては、オリンピックを延期したいということでしょうか。
積極的に延期する姿勢をみせて延期するより、組織委員会内でもいろいろありつつ、考えた末に延期になりました、と国民に訴えたいのでしょうか。
延期やむなしということで、スポーツライターの小林信也氏はこう述べています。
小林信也氏「日本に行ってみようと思っていた人たちの何%かは取りやめにしようというのが、今の状態では普通だと思いますね。選手のためでもあるし、あらゆる準備のためにも。この状況まで来たら早めに方針を決める段取りに入ったほうがいいと思います。東京オリンピックというのは、政府がインバウンドを増やそうという重要な柱の1つだった。ただそれ自体が崩れた。そうなると、1年延期というのが現実的に浮かんでくると思います」
IOCバッハ会長の見解
IOCバッハ会長は、ドイツ公共放送のインタビューでこう答えています。
「WHOが開催中止を勧告した場合には、従うことになる」
判断をWHOに委ねる姿勢です。
人々の健康や命に関わることなので、バッハ会長の意見はもっともなことと言えるのですが、今、WHOに対する不信感が広がっていることに問題を感じます。
その不信感とはどういうものなのか。
次の章でまとめていきたいと思います。
WHOテドロス事務局長に対する不信感とは?
WHOのテドロス事務局長に対する不信感は、中国に度重なる配慮を続けていることへの懸念からきています。
テドロス事務局長は2020年1月28日に訪中した際、中国の習近平国家主席にこう述べています。
テドロス事務局長「評価すべきは政治的行動力とあなたの個人的なリーダーシップです。あなたのチームはウイルスを止めるために尽力されている」
これは、中国が海外から批判されないように配慮して発言しているようにも受け取れます。
テドロス事務局長の国、エチオピアは、中国から巨額の援助を受けています。
2020年1月31日(日本時間)スイス・ジュネーブで、テドロス事務局長は緊急事態宣言を発表しました。
その際のコメントがこちらです。
テドロス事務局長「中国政府が感染を防ぐためにとっている対応は、称賛されるべきである。多くの面で中国は伝染病の発生対応の新基準を作り出している。これは大げさな話ではない」
この発言について、中国問題グローバル研究所所長の遠藤誉氏はこう述べています。
遠藤誉氏「(WHOは)ようやく緊急事態宣言を出したが、「中国経済がやられてしまう」ということで、習近平氏は緊急事態宣言を出されることをとても怖がったのですが、中国はともかくちゃんと(状況を)コントロールしていると。したがって中国への「渡航・交易制限はしない」という条件をつけて緊急事態宣言を骨抜きにしてしまった」
2020年3月10日、習近平国家主席は武漢市を訪問します。
習近平国家主席「ウイルスの蔓延と拡散の勢いは基本的に抑えられ、状況は徐々に良くなっている」
その翌日、スイス・ジュネーブで、
WHO テドロス事務局長「分析をした結果、新型コロナウイルスはパンデミックとして特徴付けられると判断しました」
と、パンデミック宣言をします。
このタイミングについて、遠藤誉氏はこう語ります。
「習近平氏が武漢入りしたということは、武漢が安全になったということ。その状態でパンデミック宣言をすれば、中国が世界から「悪いのは中国だ」と非難されなくて済むだろうと、テドロス事務局長は考えて宣言したと(考える)」
その後、中国はWHOに21億円を寄付します・・・
遠藤誉氏「結局バッハ会長までがWHOに(従う)預けてしまうというふうになりますと、日本のオリンピック・パラリンピックも結局、中国のコントロール下にあると。(中国は)少しも自分が悪かったなどとおくびにも出さないでただ(新型コロナウイルスへの)勝利宣言をするというのは、これはもう本当に許しがたい話だと」
このように、WHOと中国の癒着が懸念されています。
具体的に、日本にどう悪影響があるかどうかはわかりませんが、日本で開催するオリンピックを中国寄りの偏った考えで決定を下すことは避けなければならないと思います。
東京オリンピックが延期の場合いつ開催となるか?
現在、代表的な時期として2つ挙げることができます。
・2020年秋(2ヶ月ほどの延期)
・2022年夏(2年後)
来年の2021年はスポーツイベントが目白押しで、空いている期間をおさえるのが厳しいと思います。
2021年開催のスポーツイベント
2月:フィギュア四大陸選手権
3月:ワールド・ベースボール・クラシック、フィギュア世界選手権
7月~8月:水泳世界選手権
8月:世界陸上(アメリカで開催)
2020年の秋だと2ヶ月間だけの延期となり、選手のコンディション調整もギリギリなんとかなると言われています。
今年のオリンピック開催でなければ、体が限界という選手は多いと思います。
ただNBC(アメリカの放送会社。3 大ネットワークのひとつで1926 年創立)の都合で五輪は7~8月に固定されています。
理由は、NFL(アメフト)が9月~2月、NBA(バスケットボール)が10月~4月、MLB(野球)が3月~10月、NHL(アイスホッケー)が10月~4月となっているからです。
NBCの要求をのまないと、放映権料を得られないという事情があるようです。
ですが2020年秋開催は、選手たちにとっては最良の選択になると考えます。
もう一つの案、2022年開催は、この年は2月に北京冬季五輪、11月・12月にFIFAワールドカップカタール大会が予定されており、ちょうど夏が空いています。
冬季・夏季オリンピックを同じ年に開催するのは、もともとオリンピックがそのかたちで行われていたこともあり、理念を重視するバッハ会長も受け入れやすい案ではないかともいわれています。
オリンピック延期に対する選手たちの意見
気になる選手たちの意見はどうでしょうか。
競泳 小関也朱篤(こせきやすひろ)選手(28)
「僕個人としていえば、やっぱりやってほしい。年齢も年齢なので延期となったら続けられるか気持ちが切れてしまうか、正直わからない」
引用:3月15日 日刊スポーツ
競泳 入江陵介選手(30)
「東京五輪があったから現役に引きとめられた気持ちはある。先のことは考えず、変に過去もふり返らずにやりたい」
引用:2019年12月12日 東京新聞
東京オリンピックに向けて血のにじむような努力を続けてきた選手は多いでしょう。
今年が選手人生においてピークだったり、今でしか発揮できない力もあると思います。
選手のみなさんの心境を思うと本当につらいです。
新型コロナウイルスは、セオリー的に2ヶ月かけてピークに達し、また2ヶ月かけて収束に向かいます。
計4ヶ月。
うまく収束に向かえば、今年の夏もしくは秋に開催出来る可能性もまだまだあります。
少しでも早い収束を願います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。