
新型コロナウイルスはいつまで続くのでしょうか?最新情報(2020年3月15日現在)を調べました。
池谷裕二東京大学薬学部教授、日本感染症学会指導医水野泰孝氏、ジャーナリスト デイビッド・ウォレス・ウェルズ氏の3名の見解をご紹介します!
池谷裕二東京大学薬学部教授の見解
池谷裕二教授は、毎日200本近い論文に目を通す薬学の専門家です。
新型コロナウイルスはいつまで続くかというテーマについて、まず新型コロナウイルスの正体から語られました。
池谷裕二東京大学薬学部教授「そもそもコロナウイルスは人に感染する前は元々動物で流行っていて、人に感染するのが認められてきたのが50年くらい前。論文としては1970年代から数が増えてきています」
池谷裕二教授が説明するには、コロナウイルスの種類はこのようになっています。
コロナウイルスの種類
1.HCoV-229E
2.HCoV-OC43
3.HCoV-NL63
4.HCoV-HKU1(1~4はヒトコロナウイルス、10%~15%が風邪の原因になり、流行期は35%)
5.SARS-CoV (サーズ コロナウイルス)
6.MERS-CoV (マーズ コロナウイルス)
7.SARS-CoV-2 (サーズ コロナウイルス ツー、今回のコロナウイルス)
※今回の新型コロナウイルスの正式な名称はSARS-CoV-2で、COVID-19は名称ではなく風邪・熱・肺炎という症状を表している)
池谷裕二東京大学薬学部教授「実際に新型コロナウイルスを実験で用いている方から直接伺った話ですけど、当初SARSのように肺の気道の深い所で感染が起こると思われていた。
実際は上気道という喉や鼻腔の浅いところで感染して症状が軽い。
浅いところで感染するので口から出ていきやすい、会話でも飛散するような唾液にも含まれていて、感染力があがってしまう。
症状そのものは軽くて本人も気づかないうちにちょっとした風邪というので治っていくのも多い。
終息はいつになるのでしょうか?
池谷裕二東京大学薬学部教授「コロナウイルスは冬に流行る風邪ですから、寒い時期に流行するはず。
現時点でデータを見ていただくとわかりますように、東南アジアの暑い国、それから南半球にも広まっていますので、意外と季節性の要素が少ない。
暖かいところ、暑い所でも拡散しうるという特徴を備えていると思います。
逆にそういう特徴を備えていると、封じ込めはかなり厳しくなってきます。
例えば夏おそらくオリンピックが開かれますけども、その時には南半球で新型コロナウイルスがたくさん広がっていて、その一部が北半球に逆輸入するというようなことは起こりうると思います」
冬が終われば、寒い時期が終わり春になれば落ち着いていくだろうという期待が確かなものではないことがわかりました。
暑い国や、今、夏である南半球にも広まっている事実を考えると、季節が関係ない可能性もあるのですね。
完全な終息は難しいというのが、池谷裕二教授の見解です。
また、MERSについても言及されました。
池谷裕二東京大学薬学部教授「消滅したと思われてるかもしれませんが、あのMERSは今でも続いています。
2014年くらいに中東で、2015年には韓国で非常に猛威を振るったMERSというコロナウイルスがあります。
今、全く話題にならないんですけれども、それは実は感染が収まったというわけではなくて、大体1年にいっぺんくらいの間欠的な周期で、実はブームが今でも起きているんですね。
特に中東で起きているんですけれども、もはや人々の関心がMERSにいってないので、ニュースにもならないので、すっかり消滅したと思われているかもしれませんけれども、MERSは今でも続いています」
WHOに報告されたMERSの感染者数をみると、今も終わっていないことがわかります。
2014年 サウジアラビアで流行(110数人の感染者)
2015年 韓国で急増(100名弱の感染者)38人の死者
2016年以降も感染者は出続け、定期的に流行している。
池谷裕二東京大学薬学部教授「MERSは新型コロナウイルスに比べると、感染力はかなり低いです。
それにもかかわらず完全撲滅できていないんです。
MERSよりも感染力の強い新型コロナウイルス。
世界にもこれだけ広まってしまったものを、これから封じ込めるというのはかなり難しい。ほとんど不可能であると、私は考えています」
では、新型コロナウイルスとどう向き合えばいいのでしょうか?
池谷裕二東京大学薬学部教授「つまるところ、医療機関がパンクしない程度に緩やかに世間に広めていくというのが、人類の取りうる最良の手かなと思います。
一気に感染が広まってしまうと医療機関が崩壊してしまいますので、それは絶対に避けなくてはいけません。
ですので、徐々に世界に広めていく。毎年の流行病の1つというふうになっていく、というのが私の見方です」
感染スピードを抑えるということが、重要のようです。
ドイツのメルケル首相は「免疫やワクチン、治療薬がない中で、専門家の多くの方によればこうした状況が続けばドイツ人工の6~7割が感染するだろうと言われています」とコメント。
メルケル首相は、医療システムに過度の負担をかけるのではなく、感染を遅らせることに軸足を置くべきと主張しています。
ここで、2020年3月14日現在の国別新型コロナウイルス感染者数を見てみましょう。
国別新型コロナウイルス感染者数
イタリア 17660人
韓国 8086人
スペイン 4231人
フランス 3661人
ドイツ 3062人
アメリカ 1678人
日本 710人(クルーズ船を除く)
日本感染症学会指導医水野泰孝氏の見解
日本感染症学会指導医であり、グローバルヘルスケアクリニックの水野泰孝院長はどのような見解でしょうか。
水野院長「3月の終わりから4月にかけて新年度が始まりますので、通常だと引っ越しのシーズンになってくる。
時期が進むと4月の終わりから5月の頭にゴールデンウィークが始まるので、長期の休みでどこかに行く人がいるかもしれないので人が動く可能性がある。
このあたり(ゴールデンウィーク)でしかるべき対策がとられないと、当然これまで感染者がいなかった地域でも感染者が新たに発生する可能性があります」
いつ終息するのか?
水野院長「自然に収束していくのか、ワクチンや薬によって急速に収束に向かうのか、どちらが先かはよめませんけれど、完全に感染者がなくなること(終息)はなかなか難しいと思います」
終息は困難との見方です。
新型コロナウイルスとの戦いは長期戦に!?
自粛はいつまで続くのでしょうか。
沖縄県では2月20日に感染者が出てから新たな感染者は出ておらず、一部学校を再開しています。
水野院長「なんでもかまわず自粛するのが全てよいのではなくて、できるものはできるだけやっていく。
できないものはしっかりと抑えるというメリハリをつけて、経済が落ち込まないように。全て自粛になるとすべてが止まってしまうので、それは避けなければいけません」
ジャーナリスト デイビッド・ウォレス・ウェルズ氏の見解
アメリカでは、トランプ大統領が「国家非常事態」を宣言しました。
ジャーナリスト デイビッド・ウォレス・ウェルズ氏の見解はどうでしょうか。
ウェルズ氏の著書はアメリカでベストセラーになり、日本でも『地球に住めなくなる日』として販売されています。
ジャーナリスト デイビッド・ウォレス・ウェルズ氏「アメリカで新型コロナは、アジアより劇的に早く拡散する可能性がある。
今の状況はイタリアやイランに似ている。
アメリカの病院はすでにキャパシティーぎりぎりで運営されている。
人工呼吸器の不足が深刻な問題。
数週間で多くの病院で人工呼吸器が足りなくなるだろう。
1週間前まで、トランプ大統領を筆頭とした政府は新型コロナに一切関心を持っていなかった。
中国の武漢での対応や韓国の積極的な取り組み、シンガポールや日本の保健対策、アメリカもアジアのような対策をとるべきだった」
3名の見解まとめ
池谷裕二東京大学薬学部教授
“世界にこれだけ広まった以上、封じ込めるよりは医療機関がパンクしない程度にゆるやかに世間に広めていくことが最良の手段”
日本感染症学会指導医水野泰孝氏
“自然に収束していくのか、ワクチンが使えるようになるのかどっちが先かは読めないが、1年近くは収束しない可能性がある”
ジャーナリスト デイビッド・ウォレス・ウェルズ氏
“アメリカはアジアより劇的に早く拡散する可能性がある。数週間後には多くの病院で人工呼吸器が足りなくなるだろう”
みなさんはどう考えられるでしょうか。
個人的に、完治しない慢性の疾病を思いました。
完全に治らないなら、一生、上手く付き合っていくしかない病。
完全に感染者がいなくなる終息のかたちが無理なら、毎年流行る一般的なインフルエンザのように、自然に対処していくしかないのだと感じました。
爆発的に流行らせないように、医療機関が崩壊することなく、キャパシティー内で対処していける範囲で、新型コロナウイルスと向き合う必要があるのだと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。