新型コロナウイルスの感染者数が多い国は、中国を除いた2位の国がイランとなっています。
なぜイランに新型コロナウイルスの感染者が激増したのでしょうか?
今回は、新型コロナウイルスの感染者がイランに多い理由を調べました。
イランの新型コロナウイルス感染者数と死者
世界的に感染が広がる新型コロナウイルスは、中東のイランでも拡大し、イランはウイルスの「培養器」とも揶揄されており、中東で広がり始めたコロナウイルスの震源地となっています。
2020年3月12日現在の情報で、各国政府の発表によりますと、国別の感染者数と死者の人数は以下のようになっています。
▽中国が8万793人
▽イタリアが1万2462人
▽イランが9000人
▽韓国が7869人 死者
▽中国が3169人
▽イタリアが827人
▽イランが354人
▽韓国が66人
新型コロナウイルス感染による死者が中国やイタリアに次いで多いイランの保健省は11日、国内の死者数について「過去24時間で63人増えた。累計で354人が命を失った」と発表した。感染者数も累計で約9000人に増えている。
引用:時事ドットコムニュース
ロウハニ大統領は新型コロナに関する噂を広めないよう要請しました。
イランの国営テレビによると、モンタゼリー検事総長は「症例数の発表を担当するのは保健省に限られており、違反した場合は国家安全保障に反する行為として起訴されるだろう」との声明を発表し、他の大半の当局による症例数の発表を禁止しました。
国営メディアによると、新型コロナにより、少なくとも7人の当局者および政治家が死亡。これにはザリフ外相の側近が含まれるといいます。
イランで新型コロナウイルス感染者数が多い理由
イラン当局は国内の新型コロナウイルス感染流行の発生源として、イスラム教シーア派の聖地コムを挙げています。
コムには多くの神学校や聖廟(せいびょう)のみならず、中国が後ろ盾となったインフラ建設プロジェクトも複数あります。
こうしたプロジェクトには中国から来た多くの労働者や技術者が関わっていました。
コムを中心として築いたイランと中国との深い関係は、イラン経済が米国の制裁で低迷した時も、救いとなっていました。
それが今では、新型コロナウイルス問題で試練にさらされています。
塩崎悠輝 静岡県立大学国際関係学部 准教授はこう考えています。
イランで最初に感染が拡大したのはコムかもしれませんが、現在感染者が最も多いのは、首都テヘランと考えられています。
テヘランの人口1000万人の内、3~4割は今月中に感染するという専門家もいます。
テヘランで感染が拡大しているとなると、中国の武漢やイタリアのロンバルディア地方でやっているような、地域全体の封鎖というのは難しいです。
東京を封鎖するわけにはいかないのと同じことです。
現在、イラン政府がとっている対策は、革命防衛隊傘下の民間防衛組織、バシージの隊員30万人に、一軒一軒家を見回らせて、感染者と思われた人間は病院に収容する、というものです。
しかし、バシージは医療の専門家でも何でもないですから、専門家からは、この対策の意義は疑問視されています。
学校や大学の休校はすでに実施されています。
なぜイランでこれほど急速に感染が拡大したのか、というのはいろいろ説のあるところですが、外国の専門家が現地で検証することもできないので、本当のところはよくわからないです。
マスクや消毒液といった、基本的な公衆衛生のための物資が不足していることは確かです。
中国や韓国でも、経済への打撃は大きいですが、イランの場合、比較にならないくらい壊滅的な打撃になるのではないかと思われます。
イランは、米国の経済制裁には長年耐えてきましたが、けっこう耐えられているようでも、やはり社会のいろいろなところが脆くなっており、今回の感染拡大で、一挙に崩れてきているように見えます。
引用:NEWS PICKS
イランでコロナウイルス感染者が急増している原因について分析しており、われわれにとっての教訓が詰まっている。いわく、イランは中国との人の往来が多い国だ。中国以外から消毒用、医療用の薬剤、設備、用具が入りにくいのに、中国は自国の感染対策で手一杯で支援できない。金曜礼拝は宗教上、大事なもの。濃厚接触をやめられない。そしてイランでは感染者が急増している。これらのことから感染予防、経済対策のために必要なことがわかる。(1)できるだけ人の往来が激しいところには近づかない。そのような場所で勤務する人たちの安全のために、その場所の仕事が減るように協力する。(2)手すり、ドア、エレベーターのスイッチは極力触れない。それらは頻繁に消毒する。(3)握手、ハイタッチその他、接触は控える。(4) 日本国内で生産工程を完結するシステムを作る。(5)天井が低く空気が澱んで換気ができない部屋、会場には立ち入らない。以上のことは多くの人が指摘しているが、不思議なことは、(1)航空機の乗務員に感染者が出たという話がない。1月は武漢-成田の直行便は運航していた。(2)感染拡大の初期は、京阪神、首都圏はまだ通勤・通学電車は満員だったが、日本の満員電車で感染したという報道がない。
まとめると、こう考えられると思います。
・イランは中国との関わりが深く、イラン国内の建築やインフラ整備には、中国から来た多くの労働者や技術者が関わっていた。
・イランは中国以外から消毒用、医療用の薬剤、設備、用具が入りにくいが、中国は自国の感染対策で手一杯で支援できない。
・金曜礼拝は宗教上、大事なもので、濃厚接触をやめられない。
・なぜイランでこれほど急速に感染が拡大したのか、いろいろ説はあるが、外国の専門家が現地で検証することもできないので、本当のところは不明。